近年増えている女性鍼灸師、その魅力となり方を解説!
「鍼灸師に魅力を感じているが、実態がわからない…」
「鍼灸師を目指すべきかどうかの判断材料として、どんなメリットがあるか知りたい…」
「鍼灸師になろうと思っているが、どうやってなったらよいのかがわからない…」
と、鍼灸師になることに興味を持ちつつも、情報が足りずに今後どうしたらよいか迷っている女性も少なくないのではないでしょうか。
今回の記事では、そんな女性鍼灸師の実態について、昭和初期から鍼灸師のキャリアに関する情報を発信してきた医道の日本社がまとめました。
この記事をお読みいただくと
- 女性鍼灸師が増えている背景
- 女性鍼灸師の魅力
- 鍼灸師になるまでの道のり
について、理解を深めることができます。
ご自身の将来を考える上でのご参考にしていただけると幸いです。
目次
女性鍼灸師の増加の背景
公益財団法人 東洋療法研修試験財団の「年度別登録者数」にもあるように、鍼灸師として活動される方の数は、年々増加しています。
鍼灸師になるための専門学校に目を向けると、在学生のうち60%~70%を女性が占める大手専門学校もあるなど、鍼灸師として活躍している女性、活躍を目指す女性は増えてきており、その数は今後ますます増えていくことが予想されます。
女性鍼灸師が求められる3つの理由
女性鍼灸師が増加している背景として、鍼灸の認知拡大や女性の社会進出、働き方の多様化といった要素以外に、下記のような「女性鍼灸師」自体のニーズや強みの存在が挙げられます。
女性のお客様からのニーズがあること
鍼灸は肌に直接施術をするため、治療の際に鍼灸師が直接患者さんの肌に触れます。症状によっては、人に見せづらいような患部を見てもらう場合もありますし、そもそも個室という状況で、異性の鍼灸師に施術を受けることに抵抗がある方もいらっしゃいます。
もちろん異性の鍼灸師でもあまり気にしないという方もいらっしゃいますが、「女性の鍼灸師さんであれば、安心して施術してもらえそう」と感じられる女性の患者さんにとっては、女性鍼灸師のニーズは強いと言えます。
女性の目線に寄り添った治療ができること
解剖学的に、男性と女性の身体には違いがあります。女性鍼灸師には、「自分自身が同じ体験をしているからこそ、女性ならではの身体の悩みや辛さを深く理解できる」という強みがあります。
日常的に発生する女性特有の悩みから不妊治療に至るまで、幅広い分野に鍼灸治療が生かされていますので、より女性の目線に寄り添い、悩みに合った治療ができることは、女性の患者さんにとっては非常に心強いことでしょう。
ただし、同じ女性同士だとしても、人によって悩みや辛さの感じ方、経験は異なります。自分はそこまで大変じゃなかったから、この人もきっとそうだろう…などと決めつけてしまい、患者さんの悩みや辛さを理解できなければ、逆に理解しようと努力してくれる男性鍼灸師の方が良いと思われてしまう可能性もありますので、その点については注意が必要です。
美容鍼灸・婦人鍼灸の広まり
鍼灸には様々な分野(スポーツ、介護、メンテナンスなど)がありますが、中でも美容鍼灸や婦人鍼灸の分野は女性の患者さんからのニーズが強く、女性鍼灸師が力を発揮しやすい領域です。
メディアなどで取り上げられる機会も増えており、美容鍼灸・婦人鍼灸の注目度や需要の高まりに伴って、女性鍼灸師の活躍の場も拡大してきています。
「女性鍼灸師」という仕事の3つのメリット
生涯働き続けることができる
鍼灸師は国家資格ですので、定年により働けなくなる、ということがありません。
フルタイムやパート、独立開業から訪問診療など、働き方のレパートリーも多く、環境や状況に合わせた勤務が可能です。
そのため、妊娠や出産などのライフイベントの後での復職もしやすく、生涯にわたって働き続けることができます。
美容の分野にも進路が開ける
美容鍼灸が普及し、鍼灸の活用はエステなどの美容分野にも広がっています。
鍼灸師の資格を取得した後のキャリアとして、治療院だけでなく、エステサロンなどの美容分野で活躍する女性鍼灸師もいらっしゃいますので、美容関係の道に進もうとされる方にとっても魅力的な仕事と言えるでしょう。
女性鍼灸師ならではのやりがいがある
女性鍼灸師が求められている理由として、「女性の目線に寄り添った治療ができる」ことを挙げましたが、これは女性鍼灸師ならではのやりがいとして、施術側が感じられるメリットでもあります。
自分だからこそ寄り添える悩みがあり、それを自身が身に着けた技術で解決できる、誰かの幸せに貢献できる鍼灸師の仕事は、とても大きな喜びを感じられる、非常にやりがいのあるものです。
鍼灸師になるには?
鍼灸師になるには、「はり師」「きゅう師」の二つの国家試験に合格することが必要です。また、この国家試験を受検するための受検資格を先に取得しなければなりません。
鍼灸師になるまでの流れは下記の通りです。
養成施設で3年以上の養成課程を修了し受検資格を取得する
「はり師」「きゅう師」の国家試験は誰でも受験できる訳ではなく、受験する資格を先に取得する必要があります。鍼灸学科のある専門学校、4年制大学、3年制短大など、文部科学大臣が認定した学校、または厚生労働大臣の認定した養成施設で3年以上必要な知識・技能を修得することで受検資格が得られます。
一旦鍼灸とは別の分野で社会人になってから、転職を考えて鍼灸師の養成施設に入学する場合、大学で学んだ基礎科目などは養成施設で免除される仕組みもあります。
年1回(2月下旬)に実施される国家試験「はり師」「きゅう師」に合格する
養成施設で3年学んだ後、国家試験を受検します。
「はり師」「きゅう師」の国家資格の他に、「あん摩マッサージ指圧師」という資格を同時に受検するのも一般的です。
「はり師」「きゅう師」の2つの資格取得か、「はり師」「きゅう師」「あん摩マッサージ指圧師」3つの資格取得するかは、鍼灸師としてどのような分野で活躍したいかで選択します。
また、医師は「はり師」「きゅう師」の免許がなくても鍼灸治療ができます。
③就職、開業
国家試験に合格し、資格を取得した後、就職または開業をします。女性鍼灸師の活躍の場は鍼灸院から、スポーツ施設、介護施設、病院、美容系サロンなど多岐に渡ります。
鍼灸師になってから
養成施設では、各養成施設の特色がある基礎的な実技を学ぶことになります。大抵の場合、資格取得後に自分の目指す方向の鍼灸の技術を磨くことが必要です。
実際の鍼灸の施術方法は、各鍼灸院や就職先により大きく異なりますので、現場で学ぶのが現実的です。鍼灸院によって、各個人に自由に施術を任せている場合もあれば、その鍼灸院の方針に乗っ取った施術方法を徹底して統一している場合もあります。
また、知識として、さらに各分野に特化した資格を取得したり、養成コースを受講するのも良いでしょう。各分野に特化した技術を修得するためには、就職先でのトレーニングはもちろん、就職前に追加の知識やトレーニングを積むなど、自分で習得する技術を選択し切り開いていくことが大切です。
その他、スポーツ施設で働きたい場合やトレーナーとして活躍したい場合にはトレーナーの養成コースを受講したり、介護施設で働く場合には介護系の資格を取得することで、仕事の幅が広がります。資格取得は養成施設で学んでいる途中に同時進行して取得したり、就職後必要に応じて修得するなど、タイミングも様々です。
美容鍼については、特に各サロンや鍼灸院の独自の施術方法がありますので、就職先でのトレーニングが必須になります。
おわりに
女性鍼灸師としてどのように活躍するかは、自分の選択次第で大きく異なっていきます。
鍼灸師になってからは「実際に現場で技術を磨くこと」にとても時間を割かれるので、女性はライフイベントの前に技術を磨き、ある程度の自信をつけておくのが、その後の鍵になります。
復職しやすい仕事ではありますが、もし、妊娠・出産後の復職ということであれば、復職前とは働き方が変わる可能性は十分にあります。
どのような分野で活躍したいかを明確にし、知識を取得することは近道ですが、途中で進みたい方向が見えてきた場合、学習意欲や情熱を持って進めばどのようにでも切り開いて行けるのも魅力の一つです。