学校法人浪越学園理事長・浪越和民氏にインタビュー
7月末に小社から発売されたDVD『基礎から臨床まで 浪越指圧の実技』。この、「浪越指圧」の普及と伝承の中心的役割を担う、学校法人浪越学園理事長の浪越和民氏に、浪越指圧の特長や施術のポイントについて語っていただきました。このDVDには浪越指圧の基本技術が凝縮されて解説されていますが、驚いたことに、創始者である故浪越徳治郎が1940年(昭和15年)に最初の学校をつくったときには、ほとんどこれらの技術体系は完成していたということです。
―― 浪越指圧の創始者・浪越徳治郎をテレビでみたことがある、という人も多いと思いますが、浪越徳治郎とは、いったいどのような人だったのでしょうか。
浪越 メディアを通じて父(注:和民氏は次男)を知った人は、きっと、あの豪快な「ワッハッハッハ」と笑う姿の印象が強いと思います。確かに豪放磊落を絵に描いたような人でしたが、反面、人をとても大事にする、細やかな気遣いができる人でもありました。地方から出てきた貧しい学校の寮生を援助していたこともありましたね。
余談ですが、最近、医学界で「笑う」と健康の関連が注目されていますね。父は、いつも「腹の底から笑えば元気になる」といっていました。先見の明があったのかもしれません(笑)。
―― 浪越徳治郎は、後に「浪越指圧」と呼ばれるようになる技術を、どこでどのように学んだのでしょう。
浪越 父は、1921年(大正10年)に、北海道から東京の小田川義松という指圧の先生に入門するため、15歳で上京しました。このとき、指圧を本格的に勉強し始めたのだと思います。その後、資格を取って北海道に戻り、室蘭で開業しています。1933年(昭和8年)には再び上京するのですが、人から指圧を習ったのは、おそらく小田川先生のところだけではないでしょうか。あとは独学だったと思います。
―― 浪越指圧の特長はどのような点にあるのでしょう。
浪越 父は、指圧を普及させる観点からみて「経絡・経穴という概念は難しい」と考えていたようです。そこで、浪越指圧では、主に解剖学的な筋・骨を指標とした「圧点」を目標に指圧を行っています。また、身体の前面、特に前頚部や腹部を入念に指圧すること、さらに「診断即治療」が大きな特長と考えています。いずれにせよ、非常にわかりやすく、習得しやすい基本技術が確立されていますが、DVDではそれがよくわかるようにつくられています(画像参照)。
なお、これは今では当たり前かも知れませんが、全身に指圧を施し、身体全体の自然治癒力を喚起させるという点は、父が若い頃は相当珍しかったといっていましたね。
―― 患者さんに実際に行う場合に、注意すべき点は何でしょうか。
浪越 やはり、痛くしない、ということですね。どうしても、硬い部分は力任せに圧したくなってしまうときがあるのですが、それは絶対にダメです。手掌を用いて行う場合なども同様に、必ず「快圧」を心がけるようにして下さい。
―― 本DVD で浪越指圧に興味を持っていただいた方に、メッセージをお願いします。
浪越 浪越指圧の基本を学べば、他のどのような手技にも応用できます。浪越指圧は、「これ以外をやってはいけない」というような排他的な技術ではありません。勉強した人が、自分が好きなように応用すればいいと考えます。しかし、そのためには、基本の全身指圧を何度も何度も練習し、自分のものにしていただきたいのです。
また、ぜひ、浪越指圧のファンになってほしいというか、好きになっていただきたいとも願っています。それには、実際に受けてもらうのが一番。当校卒業生の治療所ででもいいですし、ぜひ一度浪越指圧を体験してみてください。
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