【鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師のための、治療院開業マニュアル】第5回:開業前に知っておきたい 開業失敗例と失敗しない開業のための4つのポイント

卒業し、国家試験に合格した後、治療院勤務のため就活をはじめる方はもちろん、特に30〜40代の方の中には開業を目指す方も多いのではないでしょうか。
医道の日本Onlineは、<鍼灸マッサージ治療院マニュアル>としまして、ゆくゆくは開業を考えている方を対象に、開業に必要な知識を紹介します。
目次
開業でよくある失敗例
開業を考えるときに、「失敗するのではないか?」「やっていけるのだろうか?」など不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際に開業失敗するケースとしては、以下の3つが考えられます。
失敗ケース①|運転資金不足
事業計画をしっかりと立てていないために、初期費用とは別に運転資金のことが考慮されていない場合があります。
失敗ケース②|スタッフ問題
治療院の規模によっては不要かもしれませんが、スタッフとのコミュニケーションがうまくいかず、入れ替わりが激しくなってしまう場合があります。そうなると、「この治療院、何かあるのではないか」と、患者様にも不安や不信感を与えてしまい評判を落とす可能性も。
失敗ケース③|過大装備
治療院コンセプトがしっかり練られていないため、実はあまり使われない設備などを導入してしまい、結果、資金不足を招く可能性があります。
開業で失敗しないための4つのポイント
では、失敗しないためにはどうすれば良いのでしょうか。開業を失敗しないための4つのポイントをご紹介します。
ポイント①:コンセプトをしっかり持つ
本メルマガで何度も出てくるコンセプト。
どんな患者様に対して、どのような治療(サービス)を提供していくのかがしっかり定まっていないと、開業場所、営業時間、価格帯、必要な設備、院内の雰囲気など、治療院運営に関わるすべてのことがあやふやなままになってしまいます。
たとえば、過剰な設備投資をしてしまったり、無駄に高い物件を借りてしまったり、ターゲットの患者様が通院しにくい場所に開業してしまったりと、結果、資金不足や集患に失敗するおそれがあります。コンセプトは必ずしっかりと、開業前に決めておきましょう。
コンセプトについては、こちらの記事でも解説しています。
【鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師のための、治療院開業マニュアル】第2回:知っているようで知らない?開業するまでに最低限決めておきたいこと
【鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師のための、治療院開業マニュアル】第3回:治療院コンセプトはどう決めた?先輩の声を紹介
ステップ②:経営者マインドを持つ
従業員とちがい経営者は、治療院運営の全責任を負わなければなりません。
治療サービスや、クレーム対応、資金調達、スタッフの給料など治療以外にもさまざまなことに目を向ける必要があります。そのため、治療家としての技術はもちろん、経営者としてのスキルや知識を向上していくことも大切です。
今の時代、集患にインターネットやSNS活用は欠かせませんし、広告などプロにまかせるにしても、ある程度の知識はもっておくと良いでしょう。。
ステップ③:運転資金までしっかり考える
過剰な設備投資によって、資金が圧迫されることも少なくありません。まずは必要最低限の設備からスタートし、経営状況を鑑みながら徐々に設備を増やしていくと良いでしょう。
また、経営が当初の予定通りにすすまないことも十分に考えられます。運転資金は余裕をみて少なくとも、半年分は用意しておきましょう。
ステップ④:コミュニケーションスキルを磨く
治療院経営者になると、患者様やスタッフとのコミュニケーションは大切です。
患者様にリピーターになってもらうために話しやすく通いやすい雰囲気を作る必要がありますし、施術業務を円滑に行うために、スタッフとのコミュニケーションも欠かせません。
また、経営者となると治療院のスタッフや患者様だけではなく、他の医療機関や施設、行政関係者とも深く関わることもあります。人とのコミュニケーションスキルが低いと、他機関 / 施設との関係性を作ることが難しくなってしまいます。治療院の経営をうまく継続していくためにも、コミュニケーションスキルが必要になります。
いかがでしょうか。「開業=治療院を経営すること」になりますので、今までとは違った経営者的視点が大切です。治療技術はもちろん、どう集患するか、患者様やスタッフとのコミュニケーションスキルなど他の技術も必要となります。今回の記事を参考に、ぜひ自身の治療院経営を成功させてください。

本記事は、弊社出版のはじめての鍼灸マッサージ治療院開業ベーシックマニュアルからの抜粋となります。記事を読んでご興味をもたれた方は、ぜひこちらから書籍をお求めください。