【書籍紹介記事】気軽に読めて役立つ知識が盛りだくさん!「マンガ鍼灸臨床インシデント増補改訂版」
医道の日本社では、最新の施術情報や関連知識の収集に努めている鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、アスレチックトレーナーや美容関係者・ヨガインストラクターの方などに役立つような書籍・DVDを多数取り扱っています。その中でも特にオススメの人気シリーズや、注目のタイトルなどをご紹介していきます。
目次
鍼灸の臨床は安全第一!
「鍼灸って危なくないの?」「何だか怖い」そんなふうにいわれたことはありませんか。
実際、鍼と火を使って行う鍼灸治療には、さまざまな危険が潜んでいることを忘れてはいけません。
しかし、鍼灸学生にとって、実際の臨床でのトラブルは、イメージしにくいものです。
そこでおすすめしたいのがこちら、「マンガ 鍼灸臨床インシデント増補改訂版」。
「失敗から学ぶ」という考え方にもとづいて、鍼灸臨床の現場で遭遇しやすいシチュエーションをユーモラスにマンガで描いた一冊です。
気軽に楽しく読めて、事故が起こったときの具体的な対処法や、未然に防ぐための方法を学べる本書についてご紹介していきます。
✔️ 鍼灸臨床の現場で実際に起こる事故やその防止策を学びたい鍼灸学生
✔️ 院内の安全管理や研修の参考にしたい人
✔️ 開業を控えている人
「マンガ 鍼灸臨床インシデント増補改訂版」の概要
新たに4話、40P増の増補改訂版!
付録に危険予知トレーニング(KYT)を収録
臨床の現場でいつ起きるかわからないヒヤリハット。「これまで事故なんて起きたことがないよ」という人も、たまたま大事にいたっていないだけかもしれません。
本書は、鍼灸の現場で遭遇しやすいインシデントとその防止法について、楽しいマンガと、エビデンスに基づいた解説で分かりやすく説明。「鍼の抜き忘れ」「火傷」「温灸による熱傷」など臨床現場で昔からあるインシデントから、「個人情報の保護」「カルテの記載と開示請求」「電動ベッドの事故」などを完全網羅しました。
さらに増補改訂につき、月刊「医道の日本」2015年8月号に掲載した4話を新たに収録。そして、事故につながるリスクを事前に察知するための「危険予知トレーニング(KYT)」で、マンガで得た知識を臨床の現場にフィードバックすることができます。
収納コンテンツ
●鍼の抜き忘れ/火傷/理学検査による傷害/深刺し/気分不良/手洗い/折鍼防止/B型肝炎対策/古い感染対策情報/抜鍼困難/温灸による熱傷/埋没鍼/個人情報の管理/皮下出血/子供の監視/施術後の疲労感と眠気/認知障害・失見当職の患者/カルテの記載と開示請求/東洋医学用語の誤解/中の刺鍼/患肢の取り違え、など28項目
●番外編楳田川青年の事件簿/番外編手指の衛生管理と適切な消毒法/番外編インシデント報告システム
●資料集、索引
●付録1 危険予知トレーニング(KYT)
●付録2 学生 江崎直人
ユーモラスだけど笑えない!?鍼灸臨床の現場で起こるトラブルの数々
「臨床経験がほとんどない鍼灸学生や卒後まもない鍼灸師にとっては、授業や講演で漠然とした教訓を話しても、身を乗り出して聞いてくれることはない」
著者である山下仁先生は、本書の中でそういいます。
もっと具体的なイメージやインパクトがなければ、教訓を記憶に留めることは難しいのだそうです。
そこで、「失敗から学ぶ」という考え方にもとづいて、著者が遭遇したり見聞きしたりした具体例をマンガでギリギリのところまで描写し、出来上がったのが本書です。
本書の主人公・江崎直人は、鍼灸学校を卒業したばかりの新米鍼灸師です。
この「うっかり君」は重大な過誤を次々と起こしてしまう、とんでもないキャラクター。
しかし、
「このマンガは臨床経験が長い鍼灸師ほど笑えないかもしれません」
そう著者がいうように、何年か臨床に携わってきた鍼灸師なら、きっといくつかのエピソードと似たような「ヒヤリ・ハット」(インシデント)に遭遇しているはずです。
いいところを見せたい気持ち、過信、パニック…。
読み進めるうちに、江崎君の持っている慢心が、自分の中にもあることに気付かされるのです。
ユーモラスに描かれた漫画と1ページにまとめられた解説でサクサク読める本書。
マンガで楽しく読みながら、実際の臨床がイメージでき、医療者の心構えや倫理観についても学べます。
トラブルが起こったときの具体的な対処法とヒューマンエラーを前提とした仕組みづくりが学べる
本書では、過誤がもし起こってしまった場合の具体的な対処法が数多く紹介されています。
実際に臨床に出てから、思わぬハプニングに遭遇してしまったときに、本書の内容が役に立ったという読者の声も。
本書の特徴は、“人は誰でも間違える”という前提に立って、事故防止に対する前向きなアプローチを教えてくれることです。
後半では、事故が「なぜ起こったのか」に着目し、未然に防ぐための仕組み作りを解説しています。
職場のリスク管理の参考になる「インシデント報告システム」。
ベルギーの工場で行われていた絵を使った安全教育を参考に開発されたとされている「危険予知トレーニング(KYT)」。
これらのシステムやトレーニングで共通しているのは、事故をなくすためにはどうしたらいいか、という前向きな策を提示してくれることです。
正直にインシデントを報告したスタッフを責めないこと。
「やってはいけません」と繰り返すのではなく、なぜ起こったのかその仕組みを理解すること。
職場の安全管理の仕組みづくりや、研修に役立つ情報が詰まっています。
インシデント報告や初診患者への情報提供、同意書などの書式例も数多く掲載されているので、開業を控えた人にもおすすめです。
「マンガ 鍼灸臨床インシデント増補改訂版」まとめ
・“人は誰でも間違える”という前提に立ち前向きな具体策を提示してくれる
・職場のリスク管理や研修に役立つシステム、トレーニング法が紹介されている
鍼灸臨床で最も大事な安全対策を気軽に読めるマンガで楽しく学べる一冊。
ぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。