【書籍紹介記事】獣医師必見!今求められる東洋医学のチカラ「ペットのための鍼灸マッサージマニュアル」
医道の日本社では、最新の施術情報や関連知識の収集に努めている鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、アスレチックトレーナーや美容関係者・ヨガインストラクターの方などに役立つような書籍・DVDを多数取り扱っています。その中でも特にオススメの人気シリーズや、注目のタイトルなどをご紹介していきます。
目次
現代のペットの健康事情
今や「家族の一員」という意識に変化したペットたち。
飼い主のペットへの健康意識が高まり、バランスの良い食事や医療の発展などを理由にペットの平均寿命が伸びています。
一方で、高齢化に伴い、人間と同じようにガンや認知症などの疾患が増えているのが現状です。
その中で、東洋医学など新たな治療法に関心を持つ獣医師の方もいるのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのがこちら、「ペットのための鍼灸マッサージマニュアル」です。
鍼灸マッサージの基本的な知識から練習方法、疾患別の治療方法まで実践的なテクニックを解説。
東洋医学の根底に流れる思想についても学べる本書についてご紹介していきます。
✔️ 東西両医学をバランスよく治療を取り入れたい獣医師
✔️ 鍼灸マッサージの具体的な練習・治療方法を知りたい人
✔️ 東洋医学の根本的な考え方についても学びたい人
「ペットのための鍼灸マッサージマニュアル」の概要
副作用のないやさしい鍼灸マッサージ治療を臨床に取り入れてみてください。
現在、イヌやネコをはじめとするペットたちも人間同様の高齢化によって、運動器障害や腎不全、糖尿病やアトピー性皮膚炎、がんなど、西洋医学では治りにくい疾患が増えるいっぽうです。そういった状況を受け、動物本来の自然治癒力を引き出す副作用の少ない鍼灸や漢方、マッサージ、アロマテラピー等の代替医療が人気を集め始めています。
本書はその中でも鍼灸・マッサージに特化し、日本伝統獣医学会の石野孝氏を中心とした獣医師5氏が、鍼灸・マッサージの基礎知識から日常臨床でよく遭遇する疾患の治療法までを、実践ですぐ役立つように執筆。 鍼灸・マッサージの入門書として、必携の一冊です。
収納コンテンツ
1章 鍼の基礎知識 刺鍼のしかた 小林初穂
2章 お灸の基礎知識 灸のすえ方 澤村めぐみ
3章 刺鍼の練習をしよう 小林初穂
4章 鍼灸治療の流れと施術を行う際の注意点 春木英子
治療の流れ/飼い主への説明/刺す際のコツ/経過観察/西洋医学との併用/など
5章 マッサージをしてあげよう 相澤まな
6章 症状別鍼灸治療 石野孝
運動器疾患/アトピー性皮膚炎/花粉症/風邪/便秘/白内障/肥満/腎不全など
7章 鍼灸をもっと勉強したい人のために 石野孝
現代医療ではなす術がないケースにも治療可能。東洋医学ならではの治療理論
東洋医学の特徴として、「部分から全体を知る」という考え方があります。
それをベースに“弁証論治”を行い、どのような難病であっても診断、治療が可能であるという点が、今注目が高まっている理由の一つといえそうです。
「それは、医者から見放されてしまった患者、手に負えなくなってしまった医者、双方にとって希望を感じさせてくれる魅力的なもの」
本書の著者の一人である石野孝氏はそういいます。
鍼で経穴(ツボ)を刺激し、病気を予防したり治療したりする鍼治療は、中国で生み出された4000年もの歴史を持つ「東洋医学(中医学)」の治療法の一つ。
この治療法は中国の黄河領域で、尖った石(砭石)を使って体を刺激したことが起源とされています。
また、戦いで弓や矢によって負傷した馬たちが、以前より元気になったことから発展したという説もあり、意外にも獣医学と関わりが深いという面を持っているのです。
本書では、現代のペットたちが抱える健康問題を解決する手段として、鍼灸マッサージを取り入れた治療を提案しています。
天人合一、陰陽五行説、五臓、経絡経穴といった東洋医学の根底に流れる概念についても学ぶことができるのが本書の魅力。
同時に、
「西洋医学のほうが有効だと思われる場合はそれを優先すべき」
「東洋医学にこだわるあまり動物に苦痛を与えるようなことがあってはなりません」
と、常にバランス感覚が保たれていて、現代のニーズにあった治療法を模索している人におすすめです。
動物の治療ならではのテクニックを詳しく解説!手元におきたいバイブル
人間以上に術者の気持ちや行動を察するのが動物たち。
そこには動物の治療ならではのテクニックや、押さえておきたい注意点があります。
毛が長い動物に使う鍼や、体を振った時に落ちる鍼、鍼の誤飲への対処法。
性格がきつい犬やあまり触らせてくれない猫などへの刺鍼の仕方など。
本書では、経験豊富な著者たちが、動物への施術に特有のポイントを具体的に教えてくれます。
臨機応変に対応できる刺鍼技術を身につけるための練習方法も写真付きで紹介。
そのほか、飼い主への鍼治療の提案の仕方や、東洋医学の特徴である四診を含んだ診察の流れも解説されています。
さらに、中獣医学の考え方に基づいた疾患別鍼灸治療の章は読み応え抜群。
アトピー性皮膚炎、花粉症、風邪など、臨床でよく出会う疾患について、数多くの証をあげながら、それぞれ具体的な経穴処方を惜しみなく紹介しています。
巻末には、それぞれの経絡やツボの位置、流れがわかるイラストを掲載。
常に診察室に置いておきたい一冊です。
鍼だけでなく、特別な設備や道具を必要としないマッサージについても紹介されているので、今の治療にすぐに取り入れられるテクニックも満載です。
「ペットのための鍼灸マッサージマニュアル」まとめ
・動物ならではポイントや練習方法を写真付きで解説
・数多くの証と経穴処方を紹介した治療法の章が参考になる
現代のペットたちが抱える健康問題の解決に期待される鍼灸マッサージ。
その具体的なテクニックや治療法、その根底に流れる東洋医学の思想についても解説した一冊です。
ぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。