(9)ハムストリングス・テクニック

適応
  • ハムストリングスの損傷、痛み、硬さ。股関節の屈曲制限。
目的
  • ハムストリングスと大腿後面の筋膜を分離し、弾力性を高める。
ルカウ
ハムストリングス・テクニック。前腕で優しくハムストリングスに固着させます。肘頭を使わず、骨の平らな面を用います。右膝をゆっくり曲げてみて。
患者
言うのは簡単です(笑)。
ルカウ
そうです、言うのは簡単です(笑)。このようにゆるみを巻き取っていけば、テクニックを始められます。下肢を下げるにつれて、肘の下からハムストリングスを伸長させます。もう一度上げて……私もついていきます。滑走が起きるのは下げているからです。私の下で患者の筋を滑走させます。私は歯止め装置のようです。患者は膝を曲げることで、ゆるみを取り去ります。私自身は膝を伸ばしています。下肢は大きく開いて、床で安定化させ、これをリリースします。大腿二頭筋の異なる筋頭で行えますが、座骨と坐骨結節周辺は腱があるため、行うようにしましょう。神経系に直接触れる場所です。私はここで楽にしています。傾けています。強く固着はさせても力は入れていません。筋肉をつけているからというわけではありません。何よりも私の体重を用います。
患者
痛みが膝にずっと近い場合はどうしますか?
ルカウ
痛みが膝とハムストリングス近くで起こる場合はどうするかという質問ですね。
患者
はい。
ルカウ
それがあなたにあてはまるのですか?
患者
私の大腿二頭筋は膝に近い場所が堅いんです。
ルカウ
このあたりでしょうか?
患者
ええ。
ルカウ
この場所は心地よいですか?
患者
ええ。
ルカウ
正しかったようです。
患者
座骨だけでなく、大きいコンパートメントで痛むスポットにも肘を当てるのですか。
ルカウ
座骨への施術に加えて、痛むスポットにも行うのかという質問です。そうです。ロルファーは痛むスポットを無視することで有名です。「電球を変えるのにロルファーが何人必要か」というジョークがあります。「ロルファーは電球を変えない。部屋の塗装をするんだから」というオチです。考え方としては、痛んでいるスポットは別の場所の副産物です。症状のみに対応するのでは大きな視点を逃してしまいます。でもあまりに無視しすぎると、患者はバカにされているように感じます。その場所に対応することで満足感を得られることもありますし、その場所こそが正しい場所の場合もあります。時には電球を変える必要もあります。その痛みに対応して、施術を行います。「電球を変えるのにロルファーが何人必要か」には他のジョークもあります。「一人だけ。でも10セッション必要だ」。