全身の7割近い筋肉は、実際に痛みの原因である箇所とは違う部位に痛みを引き起こしている!
腰下肢痛、膝痛、頚部痛、肩痛という4大症状について、その原因となっているトリガーポイント(TP)をどう検出し、刺鍼するか、写真や筋の断面図とともに解説。触診すべき部位が一目でわかり、触診の仕方や刺鍼の方向・深度なども具体的に記しているので、臨床の場で即試せる内容になっている。
ISBN | 978-4-7529-1416-7 |
著者 | 伊藤和憲 |
仕様 | B5判 351頁 |
発行年月 | 2009/11/27 |
価格 | 5,280円(税込) |
目次
第1章 トリガーポイント鍼治療がなぜ必要なのか?〔総論〕
第2章 トリガーポイント鍼治療における検査法
第3章 トリガーポイント鍼治療の方法
第4章 姿勢とトリガーポイントの関係
第5章 治療編
5-1 トリガーポイントと腰下肢痛
5-2 トリガーポイントと膝痛
5-3 トリガーポイントと頚部痛
5-4 トリガーポイントと肩痛
ページサンプル
著者インタビュー
トリガーポイントについて研究を続けてきた伊藤和憲氏が、初の著書『はじめてのトリガーポイント』を上梓しました。鍼灸師なら誰でも実際に治療ができるよう、鑑別および治療の仕方をステップ式にまとめ、触診部位や刺鍼の仕方を豊富な写真や図により解説しています。伊藤氏に、著書の内容や活用法についてうかがいました。
トリガーポイントとは何のことでしょう。簡単に説明してください。
伊藤トリガーポイントとは、痛みの引き金(trigger)となる点(point)のことであり、筋肉の痛みを起こしている原因部位であると考えられています。
トリガーポイントは、圧痛点と混同されやすい部位ですが、圧痛点は単に押して痛い部位であるのに対し、トリガーポイントは索状硬結と呼ばれる筋線維の塊の上に圧痛部位が存在し、その圧痛部を押さえると遠隔部に関連痛と呼ばれる痛みが放散するのが特徴です。
トリガーポイント鍼治療を本格的に始めるようになったきっかけは何ですか?
伊藤もともとトリガーポイントに関する基礎研究をしていたので、その大切さは理解していました。本格的に始めるようになったきっかけは、他の多くの病院で様々な治療を試してもよくならなかった坐骨神経痛の患者様が、小殿筋のトリガーポイント鍼治療でよくなったことです。その劇的な効果には本当に驚きましたし、トリガーポイントの重要性を痛感しました。
トリガーポイント鍼治療を特に試してほしい疾患、症状があったら、教えてください。
伊藤腰痛・膝痛・頚部痛・肩痛などの運動器疾患はもちろんですし、原因がよくわからない痛みの多くに、筋肉の痛みが関与していることが多いとされています。そのため、原因が明確でない痛みには、ぜひ試していただきたい治療法だと思います。
また、高齢者で姿勢に変化が見られるような患者様では、筋肉に少なからず緊張や萎縮があるので、トリガーポイントが存在している可能性が高いです。トリガーポイント治療というとアスリートのための治療法というイメージが強い人もいるようですが、今回の著書にまとめたものは基本的な筋肉で、一般の患者さんに治療をする際、私がよく使用している筋です。アスリートの場合は、一般の方が使わない小さな筋に痛みの原因があることも多く、治療する筋は若干異なります。
この治療法のメリット、およびデメリットについて教えてください。
伊藤トリガーポイントを治療する方法にはいろいろありますが、鍼治療は患者様の負担が少なく、深部の筋肉まで治療ができるところが最大のメリットです。
トリガーポイントは筋肉の痛みに関する治療法であるため、骨や関節そのものの痛みにはあまり効果がありませんが、骨や関節の痛みと思っている痛みの中にも筋肉が関与する痛みが多く混じっていることから、これまでの鍼治療で筋肉を意識してこなかった鍼灸師の方には、ぜひ試してほしい治療法です。