マッサージ、あん摩、指圧。どう違うの?
もみパンダ | 博士、お久しぶりです。「もみパンダ」です。 この間、初めて指圧を受けたのですが、似たような施術でマッサージ、あん摩、指圧がありますが、これらはどう違うのですか。 |
博士 | たしかに、どれも似ているから、違いがわかりにくいかもしれないね。 マッサージ・あん摩・指圧は、どれも身体を押したり揉んだりして筋肉をほぐし、血行を促進する手技療法なんだけど、それぞれ理論や手技の使い方が違っていて、得られる効果などに違いがあるんだ。 |
もみパンダ | へぇ、そうなんですね。どれも一緒に思えますが・・ |
博士 | マッサージはヨーロッパで生まれ、明治以降に日本に持ち込まれた施術方法で、筋肉や体組織に直接、主として求心性の手技を加え、血液やリンパの流れ改善を目的としている。 あん摩は古代中国で誕生し日本に渡来したもので、「あん」は「おさえること」、「摩」は「こすったり、さすること」を意味する。 筋肉や骨・関節をほぐす、主として遠心性の手技がメインで、血行の改善、特に、コリや疲労、腰痛などへの効果が期待できるんだ。 指圧は古法あん摩の押す手技が発展したもので、特定の部位に手・指で圧力を加える手技のことで、身体全体ではなく、特定部位の症状改善を目的としているんだよ。 |
もみパンダ | う~ん、わかったような、わからないような・・ |
博士 | それじゃあ、あん摩・マッサージ・指圧について少し詳しく見ていこうか。 |
もみパンダ | はい。お願いします。 |
マッサージとあん摩、指圧の違いって何?特徴や効果について解説
マッサージやあん摩、指圧など、身体に不調を感じた際に受けられる施術には、いくつかの種類があります。それぞれ特徴や効果が異なるため、自身がどのような不調に悩んでいるのかに合わせて、最適な施術を選ぶ必要があります。
本記事では、マッサージ・あん摩・指圧それぞれの起源や特徴、効果について詳しく解説します。
マッサージとあん摩、指圧の違い
マッサージ・あん摩・指圧は、どれも身体を押したり揉んだりして筋肉をほぐし、血行を促進する手技療法です。しかし、それぞれ理論や手技の使い方が異なり、得られる効果・解消できる身体の不調に違いがあります。
マッサージ・あん摩・指圧の起源や特徴、効果についてそれぞれ見ていきましょう。
マッサージとは
・起源
西洋で生まれたマッサージは、アラビア語の「おす(Mass)」とギリシャ語の「こねる(Sso)」を組み合わせてできた言葉です。日本に入ってきたのは明治時代で、フランスへ渡った軍医の橋本乗晃が持ち帰ったといわれています。
・特徴
マッサージは、筋肉やそのほかの体組織を動かすことによって、刺激を与える手技療法です。さする、揉む、押す、たたくなど、さまざまなマッサージの技術が存在します。
あん摩と反対の求心性(心臓に向かう)の手技であり、血液やリンパの流れをよくするのが目的です。
・効果
マッサージには、身体的な効果と精神的な効果の両面があります。
身体的には、皮膚に直接刺激を与えることで筋肉の緊張を和らげ、血行を良くし新陳代謝を促します。そのため、運動器系を中心に循環器系や消化器系の疾患の改善に用いられることが多い手技療法です。
また、マッサージはリラクゼーションを促進させ、ストレスを和らげるといった精神的な効果も期待できます。
あん摩とは
・起源
あん摩は、古代中国の医学から発展した手技療法です。「あん」は押したりおさえたりすること、「摩」はこすったりさすったりすることを意味します。
日本に伝わったのは奈良時代の頃といわれており、以降は日本独自の発展を遂げ、現代に至っています。
・特徴
あん摩は、指や手のひらを使って筋肉や骨、関節をほぐす手技をメインにしているのが特徴です。施術は衣服の上から行います。
マッサージが求心性であるのに対し、あん摩は体の中心から手足などへ向かって施術をする遠心性の手技です。
・効果
あん摩は筋肉の緊張を和らげ、血行を改善できるとされています。特に、筋肉のコリや疲労、肩こり、腰痛などに対し効果が期待できます。
また、あん摩は特定の症状を和らげるだけでなく、健康維持や予防医学としても利用されています。
ストレスの軽減や睡眠の質の向上などといったリラクゼーション効果にも期待できます。
指圧とは
・起源
指圧は、あん摩の押す手技が発展したものといわれています。また、浪越徳冶郎(指圧師、日本指圧協会元会長)が母親のリウマチによる痛みを和らげるために行ったのが、指圧のはじまりという説もあります。
・特徴
指圧は、特定の部位に手や指で圧力を加える手技療法です。技法によって、圧力を加える速さや強さが異なります。
衣服の上から施術する点はあん摩と同じですが、身体全体ではなく特定部位の症状改善を目的としています。
・効果
指圧は特定の部位に圧力を加えることで、筋肉の緊張や痛みを軽減します。これにより、頭痛や肩こり、腰痛などの身体的な不調改善に期待できます。
そのほか、ストレスや不安を和らげる効果があります。さらに、指圧は身体全体のバランスを整え、健康の維持や向上といった効果も期待できます。
どれを受ければいいか迷ったら
前項で解説したように、マッサージとあん摩、指圧はそれぞれ起源や特徴、効果に違いがあります。そのため、施術選びに迷われる方もいるでしょう。
しかし現在は、あん摩・マッサージ・指圧の知識と技術をすべて持った「あん摩マッサージ指圧師」という国家資格となっています。
あん摩マッサージ指圧師は、問診や検査をしたうえで最適な手技療法を用いて体の不調を改善すべく施術してくれます。
なお、あん摩マッサージ指圧師は、主に次のような症状に対応できます。
【あん摩マッサージ指圧師が対応できる症状】
肩こり・腰痛・頭痛・頭重・めまい・倦怠感・疲労・神経痛・麻痺・リウマチ・骨折・脱臼・関節の変形・捻挫の後遺症
上記のような症状にお悩みの方は、あん摩マッサージ指圧師に相談して適切な施術を受けてみましょう。
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監修
学校法人 花田学園
日本鍼灸理療専門学校 教務部長 小川 一 先生