TOP

鍼灸師になって、人から喜ばれたい

公開日:2023年12月26日|最終更新日:2024年1月16日
はりクマ博士、僕は鍼灸を受けたくなってきました。
いや、むしろ鍼灸師になりたい!
博士鍼灸師になるには、鍼灸師を養成する専門学校や大学を卒業して、国家試験に合格する必要があるんだ。3年間の勉強が必須だから、すぐには鍼灸師になれないけど、その分やりがいがあるね。
学校では、はりきゅう理論や東洋医学概論、経絡経穴概論といった東洋医学的なカリキュラムから、衛生学や解剖学、生理学、臨床医学各論といった西洋医学的なカリキュラムまで幅広く学習する。もちろん鍼灸だから実技も勉強しないといけないね。
はりクマ学校はどこにあるのですか。
僕が住んでいる六本木にもありますか。
博士六本木にはないけど、最近は鍼灸の専門学校や大学が増えているから、ちょっと探せば通える学校が見つかるはずだよ。今は全国で90以上の専門学校と大学があるからね。
大学・専門学校一覧
はりクマ鍼灸学校を卒業したら、どんな活躍先がありますか。
博士鍼灸師には開業権があるから卒業後すぐに開業することもできるけど、最初は鍼灸専門治療院で勉強してから開業するケースが多いかな。また、最近では整形外科専門医院や大学病院などの医療機関に勤める人も増えているし、スポーツトレーナーを目指す人や美容・エステ方面に進む人もいるね。さらには介護の現場で鍼灸を生かしていく人や、柔道整復師免許も取得し、鍼灸接骨院に勤務する人もいる。さらには国際的視野を持ち、海外に進出して勤務している人もいるんだ。
豪華客船で活躍する鍼灸師にインタビュー!
はりクマ鍼灸師は多方面で活躍できるんですね。
鍼1本で患者さんに喜ばれる。僕もそんな鍼灸師を目指したいと思います。
博士がんばるんだよ!

鍼灸師の仕事内容は?必要な資格や年収、将来性について解説

鍼灸師は、鍼(はり)や灸(きゅう)を使った鍼灸治療によって、患者を健康に導くことが仕事です。

近年では治療だけでなく美容でも注目を集めている鍼灸ですが、鍼灸師が具体的にどのような仕事なのかについては、知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、鍼灸師の仕事内容や、必要な資格について解説します。また、鍼灸師の就職先や年収、将来性などについても触れていますので、鍼灸師を目指す方は参考にしてみてください。

鍼灸師とは?仕事内容を解説

鍼灸師は、東洋医学をベースとした鍼や灸を用いて、患者の健康を促進することが仕事です。

鍼灸院に来院した患者から身体の悩みや相談を聞き、怪我や症状に適した鍼灸治療を施します。

昨今では鍼灸治療を専門とした鍼灸院のほかに、鍼灸を用いて治療する医療クリニックも増えており、鍼灸治療の間口は広がっているといえます。

鍼灸治療は、鍼を使って経穴(ツボ)に刺激を与える、灸を用いて温熱刺激を与えるなどの方法で、身体の不調改善や病気の予防を目指します。

西洋医学が大まかには「病気の原因を取り除くもの(例:外科手術や投薬)」であるのに対し、東洋医学では「根本的な体質改善と不調の予防」が重視されます。

東洋医学の考え方が基盤となる鍼灸師の治療も、身体のバランスを整えることや自然治癒力を促進することに注力するのです。

鍼灸師になるには?必要な資格について

鍼灸師になるには、「はり師」と「きゅう師」の資格が必要です。この2つの資格はそれぞれ別の資格で、いずれも国家資格となっており、年1回の国家試験が実施されています。

試験の受験資格を得るためには、鍼灸系の専門学校、あるいは鍼灸学科のある大学や短大を卒業しなければなりません。

「はり師」と「きゅう師」は本来、それぞれ違った資格が必要な別の職業です。

しかしながら、実際には両方の資格を同時に受験する場合がほとんどで、治療院でも両方の施術に対応することが多いため、合わせて「鍼灸師」と呼ばれています。

なお、「はり師」と「きゅう師」の国家資格の合格率は、令和5年の結果によると「はり師」が70.4%、「きゅう師」が71.7%です。

出典:第31回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について|厚生労働省

鍼灸師の主な就職先

無事国家資格に合格して鍼灸師となったあとの就職先には、以下のようなものがあります。

  • 鍼灸院
  • 訪問治療院
  • 病院や整形外科クリニック
  • 美容サロン、エステサロン
  • 介護施設
  • 独立開業

鍼灸師の就職先として一般的なのは鍼灸院ですが、近年は訪問を専門とする治療院への就職も増えています。また、鍼灸院以外にも医療クリニック、美容サロン、介護施設など選択肢は増えている傾向にあります。

そのほか、鍼灸師のなかには独立開業するケースも少なくありません。国家資格を持っていれば、鍼灸師として自ら治療院を設立することも可能です。

ただし、鍼灸師が独立開業する際には、開業資金の準備や集客、治療院の内装工事、経営などさまざまなことを考えなければなりません。鍼灸師として独立開業を考えている方は、以下の記事も参考にしてみてください。

鍼灸師の年収は?

厚生労働省のデータによると、全国の鍼灸師の平均年収は443.3万円となっています。

ボーナスを加味せず月額換算すると、一ヶ月あたりの賃金は約37万円です。

また、ハローワーク求人統計データでは、鍼灸師の求人賃金の全国平均は25.5万円となっていました。

出典:jobtag

ほかの職業に比べて特段高収入というわけではありませんが、鍼灸師としての経験を積むことで、収入のアップを目指すことは可能です。ただし、鍼灸院などに勤める場合は給料制になるため、急激な収入アップは難しいかもしれません。

鍼灸師として高収入を目指すには、独立開業という選択肢もあります。独立開業した鍼灸師の年収は、個人差はあるものの、500万円から1,000万円を超えるケースもあります。

ただし、前述したように開業資金の準備や集客が必要な点、経営が上手くいく保証はないという点を理解したうえで検討しましょう。

鍼灸師の仕事について

やりがい

鍼灸師が感じるやりがいの一つに、患者の身体の不調や痛みを緩和できる点があります。不調が改善されると患者は喜んでくれますし、表情も明るくなります。鍼灸師としてのやりがいと大きな喜びを感じる瞬間でしょう。

また、鍼灸師は患者とのコミュニケーションが重要です。患者の体調や心情を理解することが、適切な施術へとつながります。

そのため、患者との間に自然と信頼関係が築かれます。患者が鍼灸師と鍼灸治療を信頼してくれていると実感する瞬間もまた、鍼灸師にとってやりがいを感じる瞬間です。

さらに、鍼灸師は日々勉強を続けることが求められます。最新の治療法や知識を身につけることで、患者へのサポート力が向上します。自身の成長を日々実感できることも、鍼灸師のやりがいの一つといえるでしょう。

大変な面

鍼灸師はまず、技術の習得が非常に難しいです。患者の身体の状態を正確に把握したうえで、適切な施術が求められるためです。

施術には高度な技術と知識が必要とされ、日々の勉強や練習が欠かせないという点で、苦労する側面もあるでしょう。

次に、患者とのコミュニケーションが必須という点です。

治療にあたっては、痛みや不安を抱えた患者と向き合い、丁寧に話を聞くことで安心感を与えなければなりません。

加えて、患者の状態を把握し、それに合わせた施術プランを立てることが求められます。対人が不得手な方には、これらのことが大変に感じられるかもしれません。

また、鍼灸師は立ち仕事が多いため、体力的にも大変な仕事です。一日中、患者と向き合いながら施術を行うため、重労働と感じる方も少なくないでしょう。

体力勝負となるため、万全の体制で患者の施術を行うには、自身の体調管理も重要となります。

鍼灸師に向いている人

鍼灸師になるには国家資格の取得が必須であるのはもちろんですが、性格や能力などの向き不向きもあります。

鍼灸師に向いている人の特長を、いくつか例に挙げます。

コミュニケーション能力が高い

たとえば、コミュニケーション能力が高い方は、鍼灸師に向いているといえるでしょう。

患者との信頼関係を築くには、適切な言葉遣いや話し方、丁寧な対応が大切です。

コミュニケーション能力に長けた人は、患者の不安や痛みに寄り添い安心感を与えられるため、鍼灸師に向いています。

手先が器用

手先が器用な人も鍼灸師に向いています。鍼や灸の施術では患者の身体の状態を正確に把握し、適切な位置に鍼や灸を施す必要があります。非常に繊細な手さばきが求められるため、手先が器用な方に適性があるといえます。

体力に自信がある

鍼灸師は立ち仕事が多く、一日中患者の施術を行うため、ある程度体力がなければ務まりません。そのため、体力に自信がある人も鍼灸師に向いています。

学習意欲がある

鍼灸師の勉強は、資格を取得すれば終了ではありません。

最新の治療法や知識を日々習得し、技術と患者へのサポート力の向上に務めることが求められます。そのため、学習意欲が高く、学ぶことが好きな人には、鍼灸師として大きな成長が期待できます。

鍼灸師の将来性

鍼灸師になっても将来「食べていけないのでは?」「生活できないのでは?」と心配になる方もいらっしゃるかと思います。しかし、現代社会では高齢化が進んでいることもあり、鍼灸師の需要が高まっています。

鍼灸は幅広い年齢層に対応できる治療法であるため、高齢者へのケアにとどまらず、鍼灸師はスポーツや美容分野でも注目されています。アスリートのケアや美容鍼といった分野での活躍が可能であり、この先も必要とされる職業だといえるでしょう。

また、鍼灸師として働くにあたっては、治療院に就職するだけでなく、独立開業という選択肢もあります。自身の技術や経験を活かし、理想とする治療院を開設できるため、努力次第で活躍の場が広がります。

このように鍼灸師は志す意義やメリットは大きく、非常に将来性の高い職業であるといえます。

鍼灸師の学校

鍼灸師になるためには、鍼灸系の専門学校や鍼灸学科のある大学、短大で専門的な知識と技術を学ぶ必要があります。また、鍼灸師の資格を取得するには、国家試験の合格が必須です。

大学や専門学校では、医療概論や解剖学などの基礎知識から、実際の鍼灸治療法まで幅広く学びます。学校で学んだ知識と技術を活かし、国家試験に合格することで、鍼灸師として活躍する道が開けるのです。

鍼灸師を目指す方は、こちらの大学・専門学校一覧を参考に、自身に合った学校を選んでみてください。

参考文献

財団法人東洋療法研修試験財団編『改訂版国家試験出題基準 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師』(医道の日本社,2008)
森秀太郎編集責任『鍼灸医学事典』(医道の日本社,1985)
大塚恭男、代田文彦、他監修『図説 東洋医学 用語編』(学習研究社,1988)
医道の日本社編『2003年版 あなたも鍼灸師になろう 東洋療法学校ガイド』(医道の日本社,2002)

・・・

監修

学校法人 花田学園
日本鍼灸理療専門学校 教務部長 小川 一 先生